多裂筋とは
多裂筋とは、背部深層の筋肉で、多くの束からなり、棘突起両側の溝を埋めています。
多裂筋はC2から仙骨まで付着しており、非常に広く分布しています。

多裂筋のほとんどは、体表からは触知することが困難ですが、腰部多裂筋の浅層繊維は非常に発達しており、体表上で唯一触診が可能な部位になります。特に下位腰椎では非常に発達しています。
Th8の多裂筋

L4での多裂筋
(骨格筋の形と触察法から引用)
中位腰椎レベルの多裂筋と脊柱起立筋の割合は1:1、下位腰椎レベルでは多裂筋の占める割合が80%に達します。
つまり腰痛を治療する上で、腰部多裂筋の知識は必須になってきます。
そこで今回は腰部多裂筋にフォーカスを当てて書いていきたいと思います。
腰部多裂筋の解剖
浅層繊維
起始:S4までの仙骨後面、PSIS、背側仙腸関節
停止:棘突起
作用:片側:各腰椎椎間関節の側屈と骨盤の拳上
両側:各腰椎椎間関節の伸展と骨盤の拳上
神経支配:脊髄神経後枝
深層繊維
起始:すべての乳様突起および椎間関節包
停止:棘突起
作用:片側:各腰椎椎間関節の側屈と骨盤の拳上
両側:各腰椎椎間関節の伸展と骨盤の拳上
神経支配:脊髄神経後枝
機能的特徴
多裂筋の浅層繊維は、仙腸関節や仙骨に付着しています。
また、大臀筋と多裂筋は仙腸関節をまたぐような形で結合しており、腰仙椎間の安定化に作用します。
上後腸骨棘、背側仙腸靭帯をつなぐ繊維は仙腸関節の安定化に関わり、乳様突起ならびに椎間関節包をつなぐ深層繊維は椎間関節の安定化に作用します。
腰部多裂筋と椎間関節との関係性
以前の記事にも書いたように、腰部多裂筋と椎間関節は密接な関係にあります。
まだご覧になっていない方はぜひ読んでみてください。
この記事を読めば腰部多裂筋と椎間関節の関係性がわかるようになっていますので、今回は説明を省かせていただきます。
腰部多裂筋の治療する際のポイント
腰部多裂筋を治療する際に、ポイントがあります。
それは『浅層繊維と、深層繊維を別々にとらえること』です。
2種類ある線維の大きな違いは触診できるか、できないか??
これがポイントになります。
例えば、触診できない深層繊維を筋リリースしようとしてもまったく意味がないからです。
つまり
[box class="blue_box" title="繊維ごとの治療アプローチ"]
浅層繊維は、筋リリース、1b抑制を用いたダイレクトストレッチ、筋走行に沿ったストレッチ
深層繊維は、椎間関節のモビライゼーション
[/box]
といった治療戦略をとるのが有効です。
終わりに
腰部多裂筋による腰部症状は様々なものがあります。
多裂筋を理解することにより、腰部の治療がさらにわかってくるので是非理解を深めてください(^^)
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。