こんにちは
技錬会ブログ担当の髙栁です
皆さんは筋膜には12本のラインがあることをご存知ですか?
今回は、当団体でも数多く取り上げている筋膜リリースを行う上で、
知っておきたい12本のラインについてまとめていきます
目次
アナトミートレインとは?
世界各国において統合的ボディーワークを講演・実技指導しているトーマス・W・マイヤーズ氏による、体中に張り巡らされた筋膜の網を通して、ヒトの姿勢や動作の安定がどのように得られるかを解明する理論である。
12本のライン
アナトミートレインには、
SBL:スーパーフィシャル・バック・ライン
SFL:スーパーフィシャル・フロント・ライン
LL:ラテラル・ライン
SPL:スパイラル・ライン
SFAL:スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン
SBAL:スーパーフィシャル・バックアーム・ライン
DFAL:ディープ・フロントアーム・ライン
DBAL:ディープ・バックアーム・ライン
FFL:フロント・ファンクショナル・ライン
BFL:バック・ファンクショナル・ライン
IFL:同側のファンクショナル・ライン
DFL:ディープ・フロント・ライン
これらの計12本のラインがある
これら12本のラインがどこからどこへ通っていくのかを次項からまとめていく
SBL
アナトミートレインー徒手運動療法のための筋筋膜経線 第3版 より引用
前頭骨、眼窩上隆起
後頭骨稜
仙骨
坐骨結節
大腿骨頭
踵骨
趾骨底面
帽状腱膜
腰仙椎筋膜/脊柱起立筋
仙結節靭帯
ハムストリングス
腓腹筋/アキレス腱
足底筋膜と短趾屈筋
- 姿勢機能
身体を直立伸展した状態に保ち、体前屈位のように屈曲する傾向を防ぐ
- 運動機能
伸展と過伸展を発生させる(膝の屈曲を例外として)
- 姿勢代償パターン
足関節背屈制限、膝関節伸展、ハムストリングス短縮、骨盤前方移動、仙骨のうなずき前傾、脊柱前弯、胸椎屈曲により広げられる伸筋、上部頸椎過伸展を引き起こす後頭下金制限、第1頸椎上での頭部前方移動、回旋、目と脊柱運動の分離
SFL
ストレッチのチカラさんのブログから引用
乳様突起
胸骨柄
第5肋骨
恥骨結節
下前腸骨棘
膝蓋骨
脛骨粗面
足趾骨背側面
頭皮筋膜
胸鎖乳突筋
胸骨筋/胸骨軟骨筋膜
腹直筋
大腿直筋/大腿四頭筋
膝蓋骨下腱
短趾伸筋、長趾伸筋、前脛骨筋、前下腿区画
- 姿勢機能
SBLとのバランスを取り、重力線より前で伸展する骨格部分、すなわち恥骨、胸郭、顔を持ち上げるために上から張力で支える
- 運動機能
体幹と股関節の屈曲、膝関節の伸展、足関節の背屈を行う
- 姿勢代償パターン
足底屈の制限、膝過伸展、骨盤前方変位、肋骨前方位による呼吸制限、頭部前方位姿勢
LL
ストレッチのチカラさんのブログから引用
後頭骨稜/乳様突起
第1肋骨と第2肋骨
肋骨
腸骨稜、上前腸骨棘、上後腸骨棘
腓骨
第1中足骨底と第5中足骨底
頭板状筋/胸鎖乳突筋
外肋間筋と内肋間筋
外腹斜筋
大殿筋
大腿筋膜張筋
腸脛靭帯/外転筋
前腓骨頭靭帯
腓骨筋、外側下腿区画
- 姿勢機能
体幹と下肢を協調的に安定化するように機能し、活動中に身体構造が崩れるのを防ぐ
SBL・SFL・AL・SPLの間で力を仲介する
- 運動機能
体幹側屈、股関節外転、足外反など、身体の側方運動の発現に関与し、体幹の外側運動や回旋運動の「ブレーキ」としての調節機能を持つ
- 姿勢代償パターン
足根の回内または回外、足根の背屈制限、内反膝または外反膝、股関節内転制限・慢性の外転収縮、腰椎側屈または腰椎圧縮(両側のLL収縮)、骨盤上の胸郭の片側移動、胸骨と仙骨間の距離短縮、頭部安定性に過依存した肩の可動制限
SPL
吾輩はカントクであるさんのブログから引用
坐骨結節後頭骨稜/乳様突起/軸椎横突起
下部頸椎棘突起/上部頸椎棘突起
肩甲骨内側縁
外側肋骨
腹部腱膜、白線
腸骨稜/上前腸骨棘
脛骨外側顆
第1中足骨底
腓骨頭
仙骨
後頭骨稜
板状筋(頭板状筋、頸板状筋)
菱形筋(大菱形筋、小菱形筋)
前鋸筋
外腹斜筋
内腹斜筋
大腿筋膜張筋、腸脛靭帯
前脛骨筋
長腓骨筋
大腿二頭筋
仙結節靭帯
仙腰筋膜、脊柱起立筋
- 姿勢機能
身体を二重の対向するラセンで取り巻き、この二重ラセンは全ての平面において身体のバランス維持を助ける。足底アーチと骨盤角とを結び、歩行時における膝の効率的な軌道決定に関わる。SFLに関わる筋膜の多くは、他の基幹経線(SBL、SFL、LL)とDBALにも加わる。SFLは多様な機能に関与し、SPLの機能不全は他のライン機能に影響を及ぼす。世界中のほとんどの人々は、利き手と非利き手、利き足と非利き足、利き目と非利き目があり、身体の左右でSPLのバランスが完全にとれることはまれである。SPLは機能的に広範囲の状況下における適応性がある。
- 運動機能
身体に斜めのラセンと回旋運動を生み出し、伝達することである。SPLの遠心性収縮や等尺性収縮は、体幹と下肢を安定化して回旋による転倒を防ぐ。
AL(SFAL・DFAL・SBAL・DBAL)
ロルフィング®︎渋谷表参道さんのブログから引用
SFAL
鎖骨内側1/3、肋軟骨、下位肋骨、胸腰筋膜、腸骨稜
上腕骨内側線
上腕骨内側上顆
手指掌側面
大胸筋、広背筋
内側筋間中隔
手根屈筋群
手根管
DFAL
第3、第4、第5肋骨
烏口突起
橈骨粗面
橈骨茎状突起
舟状骨、大菱形骨
母指外側
小胸筋、鎖骨胸筋筋膜
上腕二頭筋
橈骨骨膜、橈骨前縁
外側側副靭帯
母指球筋
SBAL
後頭骨稜、項靭帯、胸椎棘突起
肩甲棘、肩峰、鎖骨外側1/3
上腕骨三角外側筋粗面
上腕骨外側上顆
手指背側面
僧帽筋
三角筋
外側筋間中隔
手指伸筋群
DBAL
下部頸椎棘突起、上部胸椎棘突起、C1〜4横突起
肩甲骨内側縁
上腕骨頭
尺骨肘頭
尺骨茎状突起
三角骨、有鈎骨
小指外側
菱形筋、肩甲挙筋
肩回旋腱板筋
上腕三頭筋
尺骨骨膜に沿った筋膜
尺骨側副靭帯
小指球筋
- 姿勢機能
起立肢位では、上肢は体軸上部の骨格から吊り下がり、上肢自体は構造上の「支柱」ではない。しかし、上肢の重量と上肢が自動車社会やコンピュータ社会における毎日の活動と多様に関連することを考えると、ALが姿勢機能を持つことは確かである。すなわち、肘からの緊張は背部に影響を及ばし、肩の位置異常は肋骨や頸部、呼吸機能を著しく損なう可能性がある。
- 運動機能
腕と手は我々の環境において、調べる、扱う、応答する、移動するなど無数行われる日々の活動を、目と密接に連携しながら可動する連続体を介して行う。ALは上肢から手指に及ぶ10ヶ所の関節面を超えて機能し、物体を引き寄せたり、押し退けたり、身体を牽引し、押し、安定させる。あるいはある一定の状態に上肢を保持する機能を有する。
FL(FFL・BFL・IFL)
ストッレチのチカラさんのブログから引用
FFL
上腕骨体
第5肋軟骨と第6肋軟骨
恥骨結節と恥骨結合
大腿粗線
大胸筋下縁
腹直筋鞘外側
長内転筋
BFL
上腕骨体
腰仙連結
仙骨
大腿骨体
膝蓋骨
脛骨粗面
広背筋
仙骨筋膜
大殿筋
外側広筋
膝蓋骨下腱
IFL
上腕骨体
肋骨端(第10〜12)
上前腸骨棘
鵞足、脛骨内側顆
広背筋外側縁
外腹斜筋
縫工筋
- 姿勢機能
FLには、一般的に日常で使用させることが多い浅層筋が含まれる。この浅層筋は、姿勢を維持するために硬化したり、筋膜的に短縮したりする機会が最も少ない筋である。FLが姿勢全体を歪める場合には、体幹前面、または後面のいずれかを通り、一側の肩を反対側の股関節に近づける。
FLは静止立位姿勢以外では強力な姿勢の安定化機能を有する。ヨーガのポーズや上肢帯から体幹までの安定が必要な姿勢の場合、このラインは適度な緊張を下方に伝えたり、上向きの安定性を向上させて上肢の支持基盤を固める。サッカーでボールを蹴るときなどには、下肢の安定化、あるいはバランス保持として機能する。
- 運動機能
一側上肢が体幹の前後面を通って反対側の下肢と接続し、ラインのテコとなる上肢を伸ばすことで、四肢の動きにパワーと正確性を与える。FLの運動機能を考慮するのは、スポーツ動作への応用が中心となるが、ごく平凡な不可欠例もある。それは、歩行時の一歩毎に肩と股関節が反対側でバランスを取るパターンである。
FLでは、身体ではラセン状のラインとして現れ、常にラセンパターンで機能する。このラインはSPLに対する四肢の補助ライン、あるいはALの体幹での延長とみなすことができる。実際の活動ではこのラインは絶えず変化し、正確性の観点では、力の広がりにおける中心モーメントの総和として機能する。
- 姿勢代償パターン
優先的回旋パターンがある。これは利き手側の肩を反対側の股関節に反復して近づけるという、スポーツなどの特定活動に関連する優先的な回旋パターンである。この優先的回旋パターンは6本のFL全ての緊張と協調に影響を及ぼす。また、SPL、LL、DFLがこの優先的回旋パターンの顕著な制限因子となっていることが多い。
DFL
望月均整院さんのブログから引用
全身の最下部
底側足根骨、足趾足底面
脛骨/腓骨の上部/後部
大腿骨内側上顆
後脛骨筋、長趾屈筋
膝窩筋膜、膝関節包
下後部
大腿骨内側上顆
坐骨枝
尾骨
腰仙椎椎体
後側筋間中隔、大内転筋、小内転筋
骨盤隔膜筋膜、肛門挙筋、内閉鎖筋筋膜
前仙骨筋膜と前縦靭帯
下前部
大腿骨内側上顆
大腿骨粗線
大腿骨小転子
腰仙椎椎体
前側筋間中隔、短内転筋、長内転筋
腰筋、腸骨筋、恥骨筋、大腿三角
上後部
腰仙椎椎体
後頭骨基底部
前縦靭帯、頸長筋、頭長筋
上中部
胸腰椎椎体
後頭骨基底部、頸椎横突起
横隔膜後部、横隔膜脚、腱中心
心膜、縦隔、壁側胸膜
椎前筋膜、咽頭縫線、斜角筋、内側斜角筋筋膜
上前部
胸腰椎椎体
肋骨下後面、軟骨組織、剣状突起
胸骨柄後側
舌骨
下顎骨
横隔膜前部
胸内筋膜、胸横筋
舌骨下筋、気管前筋膜
舌骨上筋
- 姿勢機能
・内側縦アーチを引き上げる
・股関節屈曲を含む下肢の各区分を安定させる
・腰椎を前方から支える
・胸部を安定させ、呼吸のリズムを保つ
・腹骨盤腔を取り囲み、形作る
・脆弱な頸部とその上にある重い頭部のバランスを保つ
- 運動機能
厳密にはDFLが関与する具体的な身体運動はない。DFLが通る路線はほぼ全て、DFLの関与筋機能を介在する筋筋膜に取り囲まれ覆われている。DFLの筋筋膜は、一般的に高密度な筋膜や遅発性の持続性収縮型の筋繊維が多く、DFLの機能にはこれらの特性が反映される。
筋膜へのアプローチ
アプローチに関しては、当団体でも複数回セミナーを開催しているのでそちらをご受講ください
日程が合わず今まで参加出来なかったという方は代表へ相談してみてください
個人的に筋膜リリースを行なっていて大事なのは、
- 安楽肢位
- ベクトル
- 方向
- 深さ
この辺が外せないかなと思います
これに関しては、筋膜に限らず内臓や経絡を行う上でも同じことが言えるので
治療の核心となる部分かもしれませんね
まとめ
今回は、アナトミートレインの内容を中心に書いてみましたがどうでしたか?
正直言えば、各ラインを詳しく覚えなくても効果は出せます
ですが、知らなくてもいいが、知っているともっと効果が出せる部分ではないかと思い、今回はこれを取り上げました
アナトミートレインをご自分でお持ちの方からするとほとんど書き写しじゃないかと言われるかもしれませんが、今回の自分のコンセプトはアナトミートレインを知らない人たちに向けて書いていますのでご了承ください
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました