知識

鎖骨があることで出来ること

皆さんは臨床で鎖骨を評価・アプローチすることはありますか?

意外と見落としていることが多いのではないでしょうか?

鎖骨は犬や馬、牛などの四つ足動物には存在しません
必要がないからです

鳥などの鳥類は左右の鎖骨がくっついていて1本の骨になっています
その方が効率がいいからです

私たちのように左右に1本ずつ存在するのは実はヒトと猿いわゆる霊長類とモグラやコウモリです
私にとって鎖骨は2本必要だから他の動物とは違う構造になっているわけです

では私たちヒトにとって鎖「骨が2本あること」でどんな利点があるのか話していきたいと思います

鎖骨の話に入る前に上肢の話を少しだけしていきたいと思い

上肢帯・肩甲帯とは

これらの言葉って何気なく使っている方が多いのではないでしょうか?

これをいざ説明してと言われてもなかなか説明がしにくいですよね

 

実はこれには定義がありました

肩甲帯または上肢帯とは

「体幹と上肢をつなぐ部分」

である

 

人で言えば肩関節の部分です

肩関節を構成するのは

①肩甲胸郭関節

②胸鎖関節

③肩鎖関節

④肩甲上腕関節

あたりでしょうか

 

鎖骨の重要性

これらの関節には「鎖骨」が関わっています

鎖骨は中心部では胸骨と関節面を作っており、体幹と上肢の両方に関係を持っています

つまり体幹の影響も上肢の影響も受ける部分であると解釈ができるかと思います

 

また体幹と上肢を繋げている筋肉はたくさん存在します

大胸筋

僧帽筋

広背筋

前鋸筋

上腕ニ・三頭筋

棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋・大円筋

これくらいにしておきましょう

 

これらの筋肉は鎖骨もしくは肩甲骨に付着しています

肩甲骨と鎖骨も肩鎖関節という関節面を持っているので、やはりお互いに影響し合っていると解釈が出来ると思います

 

このように体幹と上肢の双方の影響を受ける鎖骨を評価・アプローチをする必要性が高いと思います

 

ではなぜこの重要性の高い鎖骨が私たちのようなヒトのような霊長類にしか存在していないのでしょうか?

 

ヒトの鎖骨が2本あるわけ

鎖骨は上肢帯を構成しており、体幹と上肢を繋いでいるとお話ししました

鎖骨にはたくさんの筋肉が付着しています

その分だけ複雑な動きや力強い動きを可能にしています

 

 

人類の成り立ちから考えていきましょう

ヒトもしくはサルの生活は主に上肢を使った作業がとても多いです

ヒトの祖先が陸地に上がった時、どのように周りの凶暴な肉食動物から身を守ったか?

ヒトが地面でまともに戦ってゾウやマンモス、ライオンに勝てますか?

力も弱い、動きも遅い、5感も弱い

あなたならどうしますか?

 

私たちの先祖は上に逃げました

木に登ったり綱を渡ったり崖を登ったりし、凶暴な肉食動物が来れないようなところに身を隠したのです

その時に行う動きが上方へのリーチ動作!つまり上肢の動きです

木を登る、綱渡りをする、崖を登る際に自分の身体を上に持ち上げる必要があったので、様々な筋肉が発達していき、少しずつ骨の形が変わっていったのではないかと言われています(諸説あります)

またその際に色々な方向に自由に動け、かつ左右で別々の動きをする必要があったために鎖骨が2本必要であったと言われています

おそらく食べ物を手にもちながら逃げたりもしてたんでしょうね

 

鎖骨はS字状にカーブしているのが特徴で、僧帽筋により上後方へ引っ張られるためにこのような形になっていると言われています

前方には大胸筋や三角筋などの大きな筋肉が付いていますが、それより強い力で僧帽筋は引っ張っているんですね

一方

鳥類や四つ足動物の鎖骨はどうなんでしょうか?

 

鳥類の鎖骨

鳥類の鎖骨は左右で別れておらず一つの骨として存在しその形はV字型です

矢印のある所が関節の動き方を表していますが、この動きは羽を動かしている動きですね

なぜV字なのか調べてもわかりませんでしたが、おそらくしなりなどが入りやすくなって力が入りやすくなるのではないでしょうか?(私の推測でしかないですが)

 

猫には鎖骨があるけど犬には鎖骨はない

猫は木に登れますし、前足を比較的自由に動かせます

犬は木には登れません

前足の自由な動きはありません

出来るのは前後の動きだけですね

おしっこの時も回旋しているのは体幹部で上肢は回旋していません

鎖骨があることで複雑な動きを可能にしているんです

 

四つ足動物の移動方法は前足と後ろ足をこの後に前後に動かしており、前後方向の推進力を得るためには回旋の動きは入らない方が都合がいいわけです

 

鎖骨の発生

ここからは私たちヒトの鎖骨の話に戻したいと思います

鎖骨は膜性骨化と言って皮膚や周辺の膜が集まり骨化したものと言われています

 

胎生5週前後から骨化が始まり、25〜30歳くらいで完全に骨化され最も骨化が遅い骨とされています

鎖骨の動き

次に鎖骨が関与している関節はどのように動いているのかを見ていきましょう

胸鎖関節

胸鎖関節は関節包・靭帯によって補給させており、関節円板も存在し可動域と安定性が保たれています

また上肢下垂位の段階で10°挙上していると言われています

さらに

挙上+上方回旋 45°

下制+下方回旋 10°

前方移動 30°

後方移動 25°

自由度3の関節であり、かなり柔軟な動きが可能です

上肢と体幹の両方の影響を受けるのでやはりこれくらいの自由度が必要なんですね

胸鎖関節については円背姿勢で下制+下方回旋しており、挙上+上方回旋が苦手な方が多いです

また、円背姿勢だと上肢は内転・内旋位になるので、後方移動が発生しているケースが多いです

肩鎖関節

肩鎖関節も関節円板があり平面関節であると言われています

この関節円板は磨耗しやすく高齢になると半分以上が欠損しているのでないかと言われています

肩鎖関節の主な役割はインピンジメントの抑制と鎖骨の後方移動を防ぐことです

 

肩鎖関節には

肩鎖靱帯

烏口上腕靱帯

烏口鎖骨靱帯

が付着しています

烏口鎖骨靱帯はさらに

菱形靱帯と円錐靱帯に分けられます

 

肩鎖関節の動きは大きくなく副運動による滑り運動くらいですが、インピンジメントが発生しないように空間を作ったり、鎖骨の動きのコントロールなど、どちらかというと縁の下の力持ちの印象があります

胸鎖関節と肩鎖関節の連動した動きが必要になります

 

まとめ

上肢帯・肩甲帯とは上肢と体幹をつなぐ部位のことを表し、鎖骨が関与している

鎖骨は上肢と体幹をつなぐ役割があり、双方の影響を受けることから評価・アプローチをする必要性が極めて高い

ヒトに鎖骨が2本あることで複雑な動きを可能とし、左右で分離した動きを可能とする

胸鎖関節は複合的に動くが関節円板と靭帯によって補給されており、可動性と安定性の両方を得ている

肩鎖関節は副運動が主な動きであるが、実際にはインピンジメントを防いだり鎖骨の動きに合わせて動いている

 

 

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