知識

鵞足部の機能解剖と役割

はじめに

皆さんこんにちは!平口です!

 

皆さんは膝の評価をするときにどんなところに着目して評価していますか??

 

膝の内足部痛が主訴としてある場合、もしかしたら原因は鵞足部にあるかもしれません。

そんな鵞足部について今回は書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

鵞足部とは

縫工筋、薄筋、半腱様筋の付着部が脛骨内側部であたかもガチョウの足の様な形態をしていることから鵞足部といわれています。

(運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略から引用)

 

解剖学的構造として、縫工筋は前方から扇情に広がるように存在し、また大腿筋膜に付着しています。

そして、内側膝蓋支帯を覆う、大腿筋膜と結合しており、その少し深層に半腱様筋と薄筋が走行しています。

薄筋や半腱様筋は腱自体は細いですが、停止部で扇情に広がりながら付着しています。

(第2版骨格筋の形と触察法から引用)

 

鵞足部痛が生じる原因

鵞足構成筋は下腿筋膜に付着しているため、筋収縮によって下腿筋膜の緊張を増加させます。

その為、腓腹筋の筋力が低下していると、鵞足構成筋が過剰に収縮し下腿筋膜の緊張を増加させて、腓腹筋の筋力低下を代償するため鵞足炎を引き起こすと考えられています。

 

また下腿三頭筋は半腱様筋と共同して膝関節の過伸展制動に作用しているため、下腿三頭筋の筋力低下は半腱様筋の過剰収縮を生じさせ筋性疼痛の要因となります。

どんな方に生じやすいか

鵞足炎はスポーツをしている若年者や変形性膝関節症の方が好発します。

 

スポーツで発症するケースの多くは荷重位で股関節内旋位・膝関節内旋位(knee out toe in)を呈したマルアライメントを認めます。

その為ランニングやジャンプ動作を繰り返すと、鵞足構成筋には過度な遠心性収縮求められ、やがて鵞足炎に発展します。

主な例としてバスケット選手が挙げられます。

 

変形性膝関節症で発生するケースの多くは、股関節外旋位、膝関節外旋位(knee out toe in)を呈したマルアライメントを認めます。

その為歩行によって荷重が加わると、鵞足構成筋は過度に遠心性収縮が求められやがて鵞足炎を発症することになります。

 

また戸田らは鵞足部の圧痛は女性でBMIの高い症例に多いと報告しています。

それは、肥満によって荷重負荷が大きく女性で筋力が弱いためと考えられています。

 

つまり鵞足構成筋がオーバーユースを起こすと筋攣縮もしくは筋短縮を引き起こし、脛骨内側部に摩擦刺激となり、鵞足付着部においては牽引刺激となり鵞足炎が発症します。

 

鵞足構成筋のそれぞれの評価

縫工筋

[box class="blue_box" title="縫工筋"]

起始:上前腸骨棘

停止:脛骨粗面内側

神経支配:大腿神経

作用:股関節屈曲・外転・外旋

[/box]

 

縫工筋の伸張評価として、股関節を伸展・内転・内旋位から膝の伸展をすることで伸張刺激を加え疼痛を診る検査のことです。

 

縫工筋は鵞足炎の中で時としてみられる病態です。

つまり鵞足構成筋の中で疑う優先順位は低いことがいえます。

 

圧痛所見は、大腿遠位部から停止部にかけて認めることが多いです。

(機能解剖学的にみた膝関節疾患に対する理学療法から引用)

薄筋

[box class="blue_box" title="薄筋"]

起始:恥骨結合から恥骨下枝

停止:脛骨粗面内側、下腿筋膜

神経支配:閉鎖神経

作用:股関節内転、膝関節屈曲、下腿内旋

[/box]

 

薄筋の伸長評価は、股関節を外転位(軽度内旋を加える)にし、そこから膝関節を伸展することで伸張刺激を加え疼痛を診ます。

 

圧痛所見は内側側副靭帯の遠位、あるいは脛骨近位内側顆で、滑走刺激が起こりやすい部位で好発します。

(機能解剖学的にみた膝関節疾患に対する理学療法から引用)

 

また赤羽らは鵞足炎50例に対し鵞足筋のそれぞれの鑑別テストを行った結果、最も多く同定できたのが薄筋単独で68%、次いで縫工筋と薄筋の合併が16%、縫工筋単独は8%と報告しています。

 

つまり鵞足炎の内、約80%は薄筋が関わっていることがいえるため、鵞足炎の疑いのある方には、必ず薄筋の評価をしましょう。

 

半腱様筋

[box class="blue_box" title="半腱様筋"]

起始:坐骨結節

停止:脛骨粗面内側、下腿筋膜

神経支配:脛骨神経

作用:股関節伸展・内転、膝関節屈曲、下腿内旋

[/box]

 

半腱様筋の伸張評価とは、股関節60°屈曲位とし、そこから膝関節を伸展することで、伸張刺激を加え疼痛を診ます。

(機能解剖学的にみた膝関節疾患に対する理学療法から引用)

 

このテストのとき注意することが、他のハムストリングスが短縮していると半腱様筋に伸張刺激が加わる前にロックされてしまうため、大腿後面部に伸張痛を訴えた場合はタイトハムストリングスと判断します。

また、半腱様筋が鵞足炎として発症することはまれなケースです。

 

[aside type="normal"]

腰椎椎間板ヘルニアでは、このテストにより坐骨神経が過緊張し、疼痛が発生している場合があります。

鑑別方法として、坐骨神経領域に疼痛があるか、疼痛の種類は電撃痛か、膝窩部を走行している、坐骨神経に圧刺激を加えるなどして、他の疾患との鑑別を図っていきます。

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おわりに

今回は膝の内側部痛の原因の一つである鵞足のことについて書きました。

 

膝内側の痛みというと関節裂隙狭小化による疼痛に目が行きがちですが、ちょっと捉え方を変えてみて、鵞足部を再評価してみてください。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。