目次
椎間関節とは??
相対する関節軟骨の縁に滑膜が付着した滑膜性の関節です。
椎間関節の機能解剖
上位腰椎は前方偏移力は制動しやすいですが、側方偏移や回旋力には抵抗しにくいです。
しかし下位腰椎は前方偏移力にほ抵抗しにくいですが、回旋力は制動しやすくなります。
つまり下位腰椎ほどすべりやすくなります。
椎間関節がなぜ疼痛の原因になるのか
椎間関節周囲には図のように受容器が豊富に存在しています。
特に多裂筋が付着する領域は、侵害受容器が多く存在するためより疼痛を感じやすくなります。
椎間関節性疼痛とは
腰椎を伸展したときにおこる疼痛のことを椎間関節性疼痛といいます。
椎間関節は屈曲すると適合を失い、伸展すると適合します。
伸展時に上関節突起と下関節突起の関節の軌道が逸脱することによって、関節包や脂肪組織が挟み込まれたり、筋肉が中に巻き込まれるため侵害刺激が加わるためです。
椎間関節性疼痛の特徴
下位腰椎のほうが構造的にすべりやすいということは上記しました。
その中でも特に注目するのがL4/5の椎間関節になります。
椎間関節性疼痛の約8割はL4/5とされており、疼痛発生部位は腰部痛と臀部痛です。
続いてL5/S、L3/4の順に多くなります。
この図は各腰椎椎間関節に、侵害刺激を加えた時の放散痛の部位になります。
図のように椎間関節性疼痛は、障害関節周辺だけでなく、放散して疼痛が発生することがわかります。
椎間関節疼痛と多裂筋の関係
多裂筋とは~浅層繊維と深層繊維の違い~
多裂筋をもっと詳しく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ!
[box class="blue_box" title="起始・停止・作用・神経支配"]
起始:浅層繊維:S4までの仙骨後面、PSIS、背側仙腸関節
深層繊維:すべての乳様突起及び椎間関節包
停止:棘突起
作用:片側:各腰椎椎間関節の側屈と骨盤の拳上
両側:各腰椎椎間関節の伸展と骨盤の拳上
神経支配:脊髄神経後枝
[/box]
多裂筋は腰部では非常に発達しています。
多裂筋浅層繊維は多裂筋の中で唯一触診可能です。
しかし深層繊維は椎間関節に付着しているため椎間関節を介してではないと触診することはできません。
多裂筋の浅層繊維とは
多裂筋の浅層繊維は仙腸関節性疼痛と関連しています。
これは大臀筋と多裂筋が仙腸関節をまたぐように結合しているからです。
つまり大臀筋のスパズムや整形外科テスト(ゲンスレンテスト)が陽性になった場合、仙腸関節障害を疑います。
ゲンスレンテスト
肢位:患者は患側をベッドの端に来るように背臥位として、健側下肢の膝を屈曲させて胸に抱えこむようにする。検者は側方に位置する。
検査法:検者は患者の大腿をベッドに押しつけるようにするか、患側下肢をベッドの端から出して、患側下肢を過伸展させる。
松澤正 江口勝彦 理学療法評価学改定第4版 金原出版株式会社 2012から引用
多裂筋の深層繊維とは
深層繊維は椎間関節性疼痛と関連します。
また深層繊維は、伸展時に椎間関節どうしが接触した際、関節包や多裂筋が挟み込まれるのを引っ張り上げて防ぐ役割をしています。
つまり深層繊維がスパズムや萎縮を起こすと、椎間関節性疼痛が発生します。
椎間関節の評価
伸展+回旋テスト
椎間関節は伸展+回旋で負荷がかかるため、この動作をさせ疼痛を誘発します。
この時上記のような部位に疼痛が出現したり、部位を限局できるような疼痛が出現すれば
椎間関節性疼痛を疑います。
椎間関節の触診
椎間関節は各腰椎の棘突起より2横指外側から脊柱起立筋をよけるように触診していきます。
この時圧痛が確認できれば、その部位の椎間関節性疼痛を疑います。
まとめ
椎間関節性疼痛とは若年者でも出現しやすい、非常に身近な疾患となっています。
特に立ち仕事、デスクワークが多い方が引き起こしやすいです。
近くにそういう方がいて腰痛を訴えていたら評価させてもらうのもいいかもしれませんね。
また以前に腰痛評価についての記事も書いているのでこちらも併せてご覧ください。
また今回参考にさせてもらった参考書は非常にわかりやすく腰痛のことが書かれているので、興味があったら購入して読んでみてください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
<参考文献>
赤羽 良和 腰椎の機能障害と運動療法ガイドブック 運動と医学の出版社 2017