前回の記事では後足部の構造について話していきました
まだ読んでいないという方は先に読んでくださいね
中足部は後足部との連結した動きを特徴としており、床面と下腿の整合性を保つために働いています
また、アーチを直接構成しており、衝撃の吸収や力の伝達などの役割があり、身体重心と関わってくる(外果の前方)ところでもあるため、運動の支点となり極めて重要な部位と言えます
今回はそんな中足部の話をしていきたいと思います
中足部の構造
中足部とは舟状骨・立方骨・3楔状骨によって構成される部分でショパール関節(横足根関節)・リスフラン関節(足根中足関節)が存在し細く見ていくと舟楔関節・楔間関節・楔立方関節と呼ばれる関節も存在します
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補足説明
ショパール関節は別名横足根関節とも言われており、2つの関節から構成されています 距骨と舟状骨からなる距舟関節と踵骨と立方骨からなる踵立方関節です 先ほどもお話ししたようにショパール関節の動きは後足部の距骨下関節の動きに連動します (距骨下関節の動きがわからない方は後足部の構造を先に読んでください) ショパール関節の運動軸も距骨下関節の運動軸と同様に斜めを向いています 詳しく見ると長軸と斜軸があり、運動方向は回内・回外になります 軸を中心として蝶番の動きをします 蝶番の動きはドアの動き方をイメージしていただくとわかりやすいかと思います
ドアの場合はこのヒンジを軸として円運動をします 関節の場合は運動軸を軸として円運動をします ショパール関節の場合は下記の画像を参考にしていただき、この軸を中心に回内・回外運動が起こっているとイメージしてください 後下方から上前方へ運動軸があり水平ではないことを頭に入れておくと良いかもしれません
長軸は 水平面に対し15°上方に傾斜し、矢状面に対しても9°傾斜しています 斜軸は 水平面に対し52°上方に傾斜し、矢状面に対し57°傾斜しています ショパール関節の主な動きは回内・回外(参考可動域は25°)ですが、わずかに底屈・背屈、内転・外転の動きもしています 一般的には距骨下関節の動きを伝達する・共同して動く関節であるため、距骨下関節の可動域に制限がある場合、ショパール関節も同様に制限が発生している可能性が高いです 回内・回外の動きを妨げているのが、底屈・背屈、もしくは内転・外転により運動軸からズレることで発生しているケースもあります [box class="green_box" title="軸がずれた際のアプローチ方法"]距骨下関節を固定して前足部から大きな回旋運動(足首をぐるぐる回してショパール関節とリスフラン関節の回旋を誘導)を実施します 前回の記事で距骨下関節は回外(踵骨の回内)すると締まりの強いとなり強固な足部を作るとお話ししました ショパール関節は距骨下関節と連動しているので、 距骨下関節が回外➡︎ショパール関節回外➡︎締まりの肢位となります 距骨下関節の回内はショパール関節の回内となり緩みの肢位になります 中足部において覚えておいたほうがいいと思われる靱帯は二分靱帯とスプリング靱帯です
二分靱帯は外側の靱帯でその形からY靱帯とも言われています 踵骨から始まり2方向に分かれ、立方骨・舟状骨に付着します それぞれ踵立方靱帯・踵舟靱帯と呼ばれます(踵立方靱帯の底そくに背側踵立方靱帯というものも存在するので注意が必要です) この二分靱帯は内反捻挫の際に約半数の方が受傷すると言われています つまり内反を制御している靱帯になります 次にスプリング靱帯です 正確には底側踵舟靱帯と言います
舟状骨を下から支えている靱帯なのでスプリング靱帯と言われています 見方を変えると舟状骨を高い位置に保つ靱帯になります つまり内側の縦アーチの保持に関わってくる靱帯になります そう考えるとスプリング靱帯の重要性がわかっていただけるかと思います スプリング靱帯が機能しなくなると舟状骨が足底側に落ちるので扁平足になります このスプリング靱帯の底側は後脛骨筋腱によって支えられており、内側には内側三角靱帯の脛舟部の一部と癒合しています [aside type="扁平足とは"]
扁平足とは ちなみに上から見ると下記の通りです
各骨と骨を繋ぐように靱帯が張り巡らされているのが分かるかと思います これだけの靱帯が張り巡らされているので各関節の可動域はそこまで大きなものとはなりませんが、それぞれの関節に締まりと緩みがあり、各関節が強調して動くことが必要になります リスフラン関節は遠位の足根骨と中足骨から成る関節です 横足根関節とも言われています リスフラン関節を構成する骨は3楔状骨、立方骨、第1〜5中足骨です 第1中足骨は内側楔状骨と関節を成します 第2中足骨は中間楔状骨、第3中足骨は外側楔状骨、第4・5中足骨は立方骨とそれぞれ関節を構成しています この関節には3つの関節包が存在しており、内側楔状骨と第1中足骨の関節、中間・外側楔状骨と第2・3中足骨の関節(共有している)、立方骨と第4・5中足骨の関節(共有)部にあります リスフラン関節の特徴は中間楔状骨です 内側楔状骨と外側楔状骨よりも後方に存在しておりほぞ穴構造となっています またここに存在する靭帯はそれぞれ底側・背側・骨間の3種類が存在しています ただし第1中足骨と第2中足骨の間には骨間靭帯は存在せず、代わりに内側楔状骨と第2中足骨を結ぶリスフラン靭帯があります このリスフラン靭帯はリスフラン関節の中で一番強い靭帯と言われています ほぞ穴構造さらに靭帯により補強されているゆえに可動性が少なく、ここの部位に炎症が発生したり、脱臼や骨折も多い部位になります リスフラン関節の役割はショパール関節同様に強調した運動です 後足部からのからの運動を前足部へ伝達する役割があります さらに横アーチを形成しており体重の指示にも役だっています 足部には内側と外側の縦アーチとショパール関節レベルとリスフラン関節レベルの横アーチが存在しています [box class="green_box" title="アーチの構成"]
内側縦アーチ・・・踵骨、距骨、舟状骨、楔状骨、第1中足骨 長腓骨筋、後脛骨筋、母趾外転筋、前脛骨筋、長母趾屈筋、短母趾屈筋、長趾屈筋 外側縦アーチ・・・踵骨、立方骨、第4〜5中足骨 小趾外転筋、短趾屈筋、長・短腓骨筋 [/box]
内側縦アーチで重要なのは足底腱膜です トラス機構とも言われますが、荷重時には足底腱膜が張ることで衝撃の吸収しています その他の内側縦アーチを構成する筋肉の機能不全が起こった場合にもトラス機構は働きにくくなってします
外側縦アーチ 外側縦アーチは内側縦アーチを機能させるのに重要です 外側がしっかりとしていないと内側のアーチを作り上げることはできません よくあるのは立方骨の落ち込みです 外側荷重をしている方によく見られます(内反OAの方に特に多いですね) この場合立方骨の下に手を入れて少し上方へ骨誘導してあげることで痛みが出なくなることがあります(著名に低下している人は誘導すると痛がる人もいます) 実際にインソールでも同じところにパットを張ることがあります 最後に横アーチです 構成する筋肉は長腓骨筋、母趾内転筋、後脛骨筋 これらに共通するのは足根骨を内側方向へ誘導する筋肉であるということです 左右から挟み込む形の力が加わることで骨が上に上がるイメージですね 中足部の主な機能は後足部と共同して働き、衝撃を吸収する・前足部へ運動を伝えることです そして地面からくる力を後足部へ伝達することでした そのために必要なことはアーチがしっかりと形成されていることです アーチをしっかりと形成するには各筋肉が連動して働く必要があり、筋肉が連動して働く結果各足根骨が持ち上がり綺麗なアーチを形成します 今回も細かな解剖について話していきました まだ後足部の構造を読まれていない方はぜひ一読ください 最後に前足部の構造の記事もありますのでこちらも合わせて一読ください
リスフラン関節も細かくみると楔状骨と中足骨による関節と立方骨と中足骨の関節に分けられると思います
実際にはこの関節のアプローチも実施していますし結構重要です
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ショパール関節の構造
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ショパール関節に関する靭帯
後脛骨筋腱機能不全と内側縦アーチの偏平化を伴う慢性的な足部・足関節の状態
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リスフラン関節の構造
足部の3つのアーチ
まとめ